高岡鉄瓶
【美しい地紋と風合い】
高岡で生産される鉄瓶の最大の特徴は,蝋型鋳造製法によって生み出される美しい地紋にあります。
400年前より始まった長い鋳造の歴史のなかで,時に繊細に,ダイナミックにモチーフを再現する
蝋型鋳造の確かな技術が,高岡の鋳物職人によって受け継がれ,作品となりました。
※蝋型鋳造については下部に説明がありますのでご覧ください。
【耐久性と品質】
鉄瓶は,本体,弦,蓋と三つのパーツによるもので,そのいずれかが低品質である場合,
使い勝手が悪くなり商品の寿命は短くなります。
庄兵衛氏の監修のもと,各パーツの製作と仕上げを熟練の職人が手をかけて丁寧に行うことにより,
全体の耐久性と品質の向上をはかっています。
本体:鋳造ののち焼成と独自の着色仕上げで頑丈に仕上げます。
弦:鍛鉄により製作,そのフォルムと強靭なしなやかさは他に類をみません。
蓋:重みのある鋳銅製の蓋は高岡が得意とする仕上げ。使うほどに味わいのある色合いに。
【価値あるものへ】
美しい金銀の象嵌もその特徴といえるでしょう。技術者が一つひとつ金属の表面に金銀の箔を
埋め込み,豪華でいてかつ精緻な美しい作品に仕上げます。
大量生産ではない,生活のお道具としての枠を超えた逸品を心をこめて作り続けています。
蝋型鋳造について
蝋型鋳造とは,蜜蝋,パラフィン松脂を主原料とした原型を作り,紙土などで幾重にも包んだのち
乾燥させ,熱して中の蝋を流出させたものを焼成して型とし,その中に溶けた金属を注湯します。
鉄瓶の場合は,中を空洞にするため中型を入れます。この時に注ぎ口も一体の中型を入れるため,
型作り,注湯ともに熟知した技術者が行う必要があります。(鉄瓶の製造について)
蝋型鋳造の歴史
高岡における蝋型鋳造の歴史は古く,江戸時代の初期寛永年間(1624年)には既に蝋型鋳造の
技術が確立されていたといわれています。
おもに小物鋳造の技術として,仏具類の製造に多く利用されていました。
蝋型技術は昭和49年(1974年)にその技術が国の無形文化財として選定され,その10年後に
国指定の伝統工芸品として認定されるなど貴重な技術として評価が高まります。
今日,蝋型鋳造技術は全国的に技術者が少なくなり継承が危ぶまれる伝統技法となりました。
しかし高岡においては街の歴史のひとつとして技術を守り受け継いでゆく土壌があり,今なお
意欲的な作家のもと,多くの名品が生まれています。